前回は”アプリで賃貸経営”を目指すアセットコミュニケーションの事業の成り立ちや方向性について伺いました。
今回は賃貸管理業務のアウトソーシングサービス「らくっとくん」の開発理由やその世界観について深掘りしていきます。
前回記事はこちらよりご覧ください。
目次
らくっとくん開発の理由とサービスに込めた想い
宇都宮:
前回のお話を伺い、らくっとくんは中小規模の不動産管理会社にこそ必要だということがよく理解できました。
では、サービス開発に至った具体的な理由やそこにかける思いを聞かせていただけますか?
近藤:
サービス開発の理由は2つあります。
1つ目は現場のペインを解決したいからです。
弊社は、自社でクラウドサービスを開発運用しています。
なぜ自社開発しているかというと、現場のペインを解決したいからなんです。
具体的には、建物管理に関する困り事、24時間入居者管理の困り事、管理業法への対応など、このような”困った”=”現場ペイン”にまず対応したいと考えています。
そもそも困ったことを解決するのがITの開発会社の役割だと思っています。
2つ目は、新しい建物管理の仕組みを作るためです。
少し大きな視点になりますが、管理業務はこれからオンライン管理に代わっていくと思っています。
たとえば、証券会社や郵便局にファックスを送ることはありません。
金融業は今やほぼオンラインバンキングになっています。どんどんインターネットにより進化しているのです。
ところが、建物管理業務はファックスの使用が継続されるなど、アナログ業務や雑務のかたまりがそのままになっていて、まだまだオンライン化されていません。
これらはもう全てオンラインに置き換える時代になったんじゃないかと思っています。
ところが、管理戸数が1万戸前後の歴史のある大企業が、フルデジタル化を目指そうとすると、さまざまなしがらみがあって簡単にはいかないんです。
我々もこれまでたくさんの中堅以上の管理会社とお話してきましたが、中々フルデジタル化は進みません。
この話を国に置き換えると、中国やインドでは僻地の農村部まで電子決済がいきわたっている一方で、日本のデジタル化はこの2国に遅れをとっていることと似ています。
日本ではATMなどが元々発達していたために、かえって一足飛びに最先端の仕組みをいきわたらせることができず、後から来た方が飛び越えられてしまうのです。
これは、リープフロッグ現象と呼ばれています。
不動産管理会社においても、大手の歴史ある管理会社よりも、去年から管理をはじめたという中小規模の管理会社の方が、一気にデジタル化して最先端のデジタル化ができるのではと考えています。
まさに中小規模の管理会社にらくっとくんを活用いただくことで、「新しい管理の時代が作れるんじゃないか」「一緒に作っていきたい」、そういった想いで開発しました。
宇都宮:
確かに、大きい会社は物理的に動きにくいのに対して、小さい会社は動きやすいと言えますね。
不動産管理業界を変えるためにそういうところと組んでいくということですね。
近藤:
一社一社の管理戸数は少なくても、それが数百社になっていけば不動産管理業界を変えることができるんじゃないかと思っています。
現場のペインを解決する理由
宇都宮:
らくっとくんのサービス開発の理由のひとつが「現場のペインを解決すること」ですよね。
なぜ現場のペインに着目し、解決したいと思うようになったのでしょうか?
近藤:
それは弊社の事業概要とも関わってきます。
最初にお話ししたように、弊社は会計サービスからスタートし、その後、建物管理業務を開始しました。
建物管理業務を始めるにあたり、物件の管理状況が一目で分かるアプリの開発も開始しました。
このアプリを広めていくには、現場ワーカーが使いやすいアプリであることが重要でした。
現場ワーカーが使いやすいアプリを実現することで、現場ワーカーとやりとりする管理会社の課題も解決することができるのです。
その現場ワーカーが使いやすいアプリを実現するためには、外注先に「このアプリを使用してください」とお願いするのでは、実感を伴う開発ができないのではと思い、自社で直接ワーカーを雇用しました。
現場ワークを本気で変えたいという思いを実現するために、自社のワーカーにアプリを使ってもらい、直接様々な意見をもらい、それを一個一個つぶしていって、このアプリなら使える、というレベルのものにしてきたんです。
- 現場の人が直行直帰できるようになった
- アプリで経費精算が自動化できた
一つ一つの現場ペインを解決して、約70名の現場ワーカーに喜んでもらいながら経験値、ノウハウを積み重ねてきました。
宇都宮:
「現場ワークを本気で変えたい」という強い思いが今のアプリに繋がっているのですね。
近藤:
そうですね。現場のペインが深ければ深いほど、解決できたときの喜びもひとしおです。
例えば、クラウド上でスケジュール管理ができない場合、個別にLINEやメールでやりとりをしてスケジュールを調整・管理することが必要になります。
来月の日程がどうなっているか、把握できていないので、毎回電話でやり取りするはめになってしまうんです。
これがクラウドで管理できるようになれば、現場の人も発注者もスケジュールがいつでも把握でき、進捗の予実管理もできます。
それによって空室ロスを減らすための対策も考えることができるようになりますよね。
単に業務効率化といったニーズではなく、現場のペインをキャッチアップして解決することで、現場だけではなく建物管理に関わる様々な人の課題の解決に繋がります。
宇都宮:
頭で描いていたことをシステム化したのではなく、現場の課題を解決しながらシステムを作っていったというのは素晴らしいですね。
アプリで賃貸経営が実現したら?
宇都宮:
建物に関わる様々なデータをクラウド管理することで、オーナーがアプリでいつでもどこでも賃貸経営ができる。
その理想が実現したら、どうなるのでしょうか?
近藤:
よく「AIが発達してなんでもやってくれるようになったら、人間は何するの?」という話がでますよね。
らくっとくんで「会計データや入居者対応も全て自動化してダッシュボードでリアルタイムに全部わかる」世界が実現したら、管理会社は何するのか?
私は、賃貸経営や賃貸管理の仕事がもっと楽しく、もっと工夫できる世界になっていくと思っています。
賃貸経営ってなんのためにするのでしょうか。資産運用?相続?節税?
入居者や、メンテナンス、管理に関わる人たちが物件価値を一所懸命に考えることでもっと楽しいことが見出されるのではないでしょうか。
賃貸物件はハードの部分で、ここを大きく変えるのは難しいです。
しかしながら、ソフトウェアの部分と言える、暮らし方の方はまだまだ工夫の余地があります。
不動産はデジタルと融合していく中で、本来の可能性をもっと発揮できます。
そこで人が暮らしているということは、暮らしに関わる様々なサービスを物件と融合した形で提供していくことができるんです。
例えばオーナーが農家をしている。畑で採れたいいニンジンを入居者さんが買える。
このように、うまくサービスと物件とを連携できたらおもしろいんじゃないでしょうか。
オーナーさんは地域のコミュニティと密に接している方が多いので、野菜だけではなく文化的な活動や飲食店のクーポンなど、サービスはなんでもいいんです。
将来的には、物件単位のネットショップがあって、オーナーさんが入居者向けに自由に商材を設計して、運用できるような仕組みを提供したいと考えています。
そうすることで、ハードウェアとしての物件とソフトウェアとしての入居者サービスが融合できますよね。
管理に関する雑務が楽になった結果、もっと楽しくもっと工夫して、せっかくなので、賃貸経営を楽しみたいという人が増えていったら、街も活性化して世の中も良くなるんじゃないかと思っています。
宇都宮:
衣食住の中の住って根幹なのに、今はまだそこまでできていないですよね。
物件のソフト面がITの力で加わっていくのがDXだと思いたいですし、実際にオーナー様や色々な方に共感してもらって一緒に作っていきたいですね。
ネットショップが個人で使えるようになったら、近くの飲食店のフードロスも解決できるかもしれません。
衣食住の住が充実することによって、オーナーだけではなく、街全体、ひいては日本全体がよくなっていくっていうのはいい世界観だなと思いました。
らくっとくんの機能・ポイントを紹介
- 建物維持保全
約120種別共用部のメンテンナス、専有部、大規模修繕これらをBMクラウドネットショップを通じて業者の手配、受発注の管理をクラウド上で完結
- 入居者対応
24時間コールセンターとBMプライム緊急駆付けのアプリ
コールセンターだけ、オーナーアプリだけ、など単一のサービスはたくさんありますが、
らくっとくんは全てを一元的にクラウドで完結することができます。
【先着10社】らくっとくんのモニター募集を開始
<2つのポイント>
➀390円/戸
管理のDXを進めていく中で、コストを抑制しつつ管理戸数を増やすことができる。
不動産会社様の手数料は15%相当で85%が粗利に(※)
※初期条件:賃料5.8万円管理手数料5%2900円、らくっとくん1戸390円。
営業利益率は業界団体資料をもとに試算
※上記試算100万円アップは戸数300の年間ベース
②1棟10戸からご利用可能
らくっとくんは1棟戸数10戸からご利用可能です。
500戸ある管理物件のうち10戸からまずはお試しいただくことも可能です。
入り口の障壁を低くして、この機会にらくっとくんの提供するサービスの価値を感じていただきたいと思っています。
▼お申し込み・お問い合わせはこちらから