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2027年カウントダウン!マンション照明LED化の現場最前線と実践ロードマップ

シリーズ構成

  1. 第1回 蛍光灯禁止の背景と国内外の動向
  2. 第2回 業界各社の取り組み・困りごと・現場の声(本稿)
  3. 第3回 LED工事プロセスとDXソリューション ※次号で詳細解説

“計画策定”から“実装”フェーズへ

2027年末の蛍光灯製造・輸出入全面停止が確定し、管理会社の実務は「情報収集」段階から「実装計画」段階に入りました。本稿では ①大手・中堅不動産管理会社や関連プレイヤーが実際に進めている LED 化施策、②現場で顕在化している課題とその解決策——の二つを中心に整理します。


1. 業界全体の進捗イメージ

区分進捗ステージ主体例典型的アクション
先行型計画完了 → 工事着手大手 REIT/新築分譲系 PM5カ年計画で全物件一括 LED 化。ESCO 契約で投資回収保証。
加速型調査完了 → 仕様検討中堅 PM/自治体系住宅供給公社共用部器具台帳を整備し、補助金と長期修繕計画を連動させ導入時期を最適化。
追随型調査開始中小 PM・サブリース会社社内啓蒙から着手。蛍光灯在庫切れリスクを喫緊の課題として把握。

示唆

  • 大手ほど「資産保全+ESG レポーティング」視点で前倒し投資。
  • 中堅は補助金や修繕計画との重ね合わせが鍵。
  • 中小は在庫確保や管理組合合意形成のリードタイム短縮が急務。

2. 業界各社の最新取り組み

2.1 不動産管理会社(PM/BM)

企業区分主な施策成果・狙い
大手PM A社物件横断の照明アセスメントを5,000棟で実施。3D 俯瞰図+ランプ台帳を整備し、LED 化効果を即時算出。電気料金 8%削減、ESG 報告書のKPIとして活用。
中堅PM B社管理組合向けにLED 導入コンサルを新設。補助金申請〜工事監理までパッケージ化。合意形成期間を従来比 30%短縮。
サブリース会社 C社退去後リフォーム時に専有部 LED へ一括交換原状回復コスト削減+広告差別化。

2.2 照明メーカー/商社

  • 国内大手メーカー:2025 年までに蛍光管ライン停止、器具一体型LEDへ転換。トータル提案強化。
  • 専門商社:海外製バルブ型 LED(工事レス置換)を輸入しコスト圧縮。
  • スタートアップ:IoT センサー搭載ダウンライトを月額サブスクで提供し、稼働データをBEMSへ連携。

2.3 施工/ESCO/FM 事業者

  • ESCO 事業者:LED 化工事費をサービス料で回収する“オフバランス”契約を提案。
  • ゼネコン系 FM:大規模修繕工事に照明更新を抱き合わせ、足場費を抑制。
  • 地場電工ネットワーク:クラウド見積システムと API 連携し、リアルタイム単価提示。

3. 現場で顕在化した“困りごと”と解決ヒント

課題カテゴリ現場の声解決アプローチ例
製品選定「既存器具に合う LED が分からない」器具品番を台帳化し、メーカー横断比較表を作成。
初期コスト「積立金が足りない」補助金+ESCO+リースを組み合わせキャッシュアウト平準化。
施工調整「共用廊下を止められない」工事レス直管型LED+段階切替(1フロアずつ短期施工)。
在庫リスク「蛍光管がもう手に入らない」“封印在庫”を早期売買契約で確保、または先行LED化でリスク排除。
合意形成「総会で反対が出る」試験点灯+電気代試算シートを提示しメリットを定量化。

4. まとめと次号予告

  1. 規制まで残り 2 年強──最も時間を要するのは「調査」と「合意形成」。
  2. 大手は一括横断管理・中堅は補助金連動・中小は在庫/合意が鍵と三者三様。
  3. 課題克服には、器具台帳整備や見積の標準化などデータドリブンな管理手法が不可欠。

第3回(次号)
「LED 工事プロセスと DX が変える施工管理」

  • 設備データベースの作り方
  • 自動見積・マッチングシステムの活用ステップ
  • BIM/遠隔検査など最新施工DXトレンド

#出典名主な引用ポイント
1経済産業省「蛍光灯からLED照明への切替えはお済みですか?」国内規制スケジュール
2日本照明工業会 ニュースリリース(2023-12-22)2027年末全面禁止決定
3EU RoHS FAQ/Single Lighting RegulationEUにおける蛍光灯販売禁止
4米国エネルギー省(DOE)「GSL Final Rule」120 lm/W効率基準とCFL淘汰
5中国 生態環境部(MEE)水銀含有製品規制通達CFL製造・輸出入禁止時期
6韓国 産業通商資源部(MOTIE)プレスリリース2027年までの段階的フェーズアウト
7新宿区「集合住宅共用部LED照明設置費補助金」補助率・上限額の事例
8Buildings.com “Fluorescent Lamps to Be Phased Out Globally by 2027”国際的影響・市場動向
9オフィスコムMAGAZINE「蛍光灯2027年問題とLED化のメリット」省エネ率・投資回収年数の例示

本稿の内容は2025年5月時点の公表資料を基に作成しています。制度改定や補助金要件は随時更新されるため、最新情報をご確認のうえご活用ください。

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