たてものサービスとアセットコミュニケーションズは、清掃品質とDXプラットフォームを掛け合わせた協業を進めています。本対談では、両社の現場を知り尽くしたキーパーソン─たてものサービスのパートナーシップ事業部部長吉沢さんとアセットコミュニケーションズ巡回チームマネージャー石川が、清掃のやりがい・現場での学び・協業によって描く未来像を語り合いました。
対談者(敬称略)
株式会社たてものサービス パートナーシップ事業部 部長 吉沢正隆
株式会社アセットコミュニケーションズ 巡回チームマネージャー 石川志郎
清掃に魅せられたふたり(自己紹介)
司会「まずは簡単に自己紹介をお願いします。」
吉沢「株式会社たてものサービスの吉沢と申します。現在はパートナーシップ事業部の責任者として、直営事業と並行して、独立いただく方の開発・支援を担当しています。独立を希望される方をサポートし、一緒に地域でサービスを広げていく、そんな事業を展開しています。
石川「アセットコミュニケーションズの石川です。東京23区でバイク巡回チーム(5名)を束ね、マンション共用部の清掃品質を守っています。」
「なぜ清掃業界?」転職ストーリー
司会「お二人とも異業種からの転身ですよね。まず吉沢さん、この業界に入ったきっかけを教えてください。」
吉沢「はい。上京してアニメーションの背景を描いていたんですが、才能も食い扶持も足りなくて1年半で断念(笑)。“田舎には帰らない”ために手に職を付けようと飛び込んだのがハウスクリーニングでした。『作業が終わったその場で報酬と感謝を同時に得られる』—これが自分にとっては衝撃で、“天職かも”と思ったんです。」
司会「吉沢さんは資格もたくさんお持ちですよね。」
吉沢「ええ、宅地建物取引士と賃貸不動産経営管理士、それからFP2級を持っています。今は1級に挑戦中です。個人オーナー様から『管理会社を選ぶ基準は?』といった相談を受けることが多いので、資格で裏付けがあると説得力をもってサポートできるんです。FPの方は、独立を目指す皆さんが“国保の切替”や“青色申告”で迷わないよう支援したくて取得しました。」
石川「僕は逆に15年間、広告のダイレクトメール向けデータ管理一筋でした。ところがペーパーレス化が進み、『この先、業界がどうなるか見えない』という焦りが強くなったんです。毎日10〜15時間パソコンに向かいっぱなしの生活でもあり、『そろそろ体を動かす仕事に替わらなければ』と決意しました。45歳で未経験転職―“未経験でも受け入れてもらえそうな最後の業界”と覚悟を決め、清掃に飛び込んだわけです。」
清掃の現場で感じる最高の瞬間
司会「仕事をしていて『やっていて良かった』と感じるのはどんな瞬間ですか?」
清掃の仕事が生んだ家族の笑顔”
吉沢「半年に1回、独立パートナー全員を集めて研修会を開いています。その後の食事会で、
『たてものサービスで独立して本当に良かった』
と笑顔で言ってもらえる瞬間が、何よりやりがいを感じるときですね。
印象的なのは、かつて“バリバリの営業会社”で深夜まで働き詰めだった40代の方です。家と会社の往復だけで、子どもと関わる時間がほとんどなかったとおっしゃっていました。独立後は朝8時から午後3〜4時には仕事を終え、子どもとお風呂に入り、家族と一緒に夕飯が食べられる生活に激変したそうです。『年収は少し下がったけれど、心身ともに健康になり、子どもと触れ合う時間が増えた』と話してくれました。
また、前職が斜陽産業で、この先どう家族を支えていけばいいか悩んでいた方もいらっしゃいました。そうした方々も独立してからは収入を伸ばしつつ、夕方には家に帰って子どもと過ごす時間をしっかり確保できています。ある方からは
『収入も増えたし、子どもと過ごす時間も取れる。独立して本当に良かったです』
という言葉をいただき、支援冥利に尽きる思いでした。
こうした声を聞くと、独立支援を続けてきて本当に良かったと実感します。」
石川「御社で独立される方には“どこまで出来ればOK”という基準があるのでしょうか?」
吉沢「実はハードルは高くありません。一番大事なのは理念の共有──『お客様・働く仲間・家族の三つの笑顔を守る』という想いに共感していただけるかどうかです。加盟金は1円もいただきませんし、研修費はこちらが負担するくらい。作業スピードやテクニックよりも、同じ方向を向いて長く歩けるかどうかを重視しています。」
石川「つまり“資格より覚悟”というわけですね。」
吉沢「まさに。清掃の技術は後からいくらでも伸ばせますから。」
黙々タイプが花開く瞬間
石川「僕の場合は、“社会で居場所を見つけにくい人”が活躍してくれる瞬間が一番うれしいです。清掃業界には、コミュニケーションが苦手で人前に出るのがつらい―でも黙々と真面目に作業すること自体は得意、という方が少なくありません。
一番印象的だったのは、ほとんど話さない20代の若者が面接に来たときのこと。面接でも返事は小さく、現場初日もこちらが話しかけてもなかなか反応がありませんでした。ただ、掃除の手順をゆっくり教えると吸収が早く、一度覚えたら毎回きっちり丁寧に仕上げるんです。
数か月後、担当の管理会社から
『○○さん、本当に丁寧にやってくれて助かっています』
というお礼のメールが届きました。その瞬間、『この業界で受け皿になれて良かった』と心底思いましたね。“人と接するのが得意でなくても、黙々と真面目にやる人なら必ず活躍の場がある”―それを確かめられた出来事でした。」
吉沢「わかります。“最後の受け皿”にもなれる仕事ですよね。」
後編では、“吉沢さんだからお願いしてる” と語る18年のお客様との絆、そしてコロナ禍の現場で痛感したフォロー体制の重要性に迫ります!