menu

BMクラウド

「Realize+」ネットショップが描く未来──ハートリビングサポート創業ストーリーと住設機器サービスの今後

ハートリビングサポート中川社長に、ガス機器メーカーでの経験から独立を決意し、全国展開を果たすまでの道のりを語っていただきました。

聞き手:アセットコミュニケーションズ代表:近藤

プロフィール&会社紹介

  • 中川 雅文(なかがわ・まさふみ)
    メーカー勤務を経てハートリビングサポート株式会社(HLS)を創業。住宅設備機器のアフターメンテナンスを年中無休で担う体制を日本全国へ広げ、現在は札幌から沖縄まで直営拠点を展開している。迅速対応を掲げる。
  • ハートリビングサポート株式会社
    設立:2002年
    事業:住宅設備機器の交換・リース、LED交換工事、コールセンター運営ほか
    売上規模:60億円(グループ計、2024年度実績)
  • 拠点数:全国18拠点

1 創業ストーリー──“年中無休のかけつけ体制”を全国へ

近藤:まずは創業の経緯と独立までの道のりをお聞かせください。
中川:ガス機器メーカーで現場を回っていた30代の頃から、**「30代で独立する」**と決めていました。当時、管理会社さんからは「365日・24時間で住宅設備のアフターを一括対応してくれる会社が欲しい」という声が多く、38歳で起業しました。社名登録と同時に取得した電話番号8419(“はよいく”) は「呼ばれたら即動く」という覚悟の象徴です。電話一本でライフラインのトラブルに駆けつける体制を整えた企業は当時国内にありませんでした。

近藤:全国展開はどのように進められたのでしょう。
中川:M&Aに頼らず、大阪本社から福岡へ私自身が単身で乗り込んでオペレーションを磨き、その後、東京に進出し、札幌・仙台・名古屋・広島・福岡・那覇へと直営拠点を増設。現在は北は北海道、南は沖縄まで全国直営ネットワークを構築しています。

近藤:次のマイルストーンは“100億円企業”ですね。
中川:はい。急成長している入居者点検事業とLED交換事業で来期+30億円を上積みし、グループ売上100億円を目指します。「業界の駆け込み寺」であり続けるため、誠実さと即応力、そして“断らない”姿勢を徹底していきます。


2 住設機器で年4万件施工――“ノーと言わない”ワンストップサービス

近藤:現在の主力サービスを教えてください。


中川:ガス給湯器・電気温水器・ガスコンロ・エアコンといったライフライン設備の修理・交換・リース提案を年中無休で提供しています。お問い合わせからお客様へ迅速にご連絡を差し上げ、翌日から3日以内に完結できるよう体制を整えております。

部品供給が終了した旧型機器には「一括リース+10年メンテ保証」を提示し、オーナー様のキャッシュフロー負担を平準化しています。 対応範囲は専有部だけでなく、共用部の宅配ロッカー・オートロックインターホン・共用LED照明・メールボックスまでカバーしています。今後ネットショップ「Realize+」による同一プラットフォームで発注・進捗確認・履歴管理が可能です。

一方で戸建住宅向け設備やエレベーターなど、高額かつ高度な安全管理が必要な領域はあえて扱わず、スピードと専門性を最大化できるカテゴリーに集中する戦略を貫いています。 強みの一つは“ノーと言わない”姿勢。他社が敬遠する案件にも臆せず挑み、代替機種を即時手配できる調達ネットワークを保有します。

近藤:技術研修の仕組みもユニークですよね。


中川:横浜、福岡、大阪などに研修センターを設け、管理会社の社員様や協力業者が設備の構造とエラーコードを実機で学べる環境を用意しています。研修センターとコールセンターを併設し、問い合わせ時に実物を見ながら説明できるのも強みです。

管理会社の社員様や協力業者が機器の構造やエラーコードを直接触って学べるカリキュラムを開催しています。

研修センターとコールセンターを併設しているため、オペレーターが実機を見ながら案内でき、一次電話での自己解決率は80%以上という業界トップクラスの技術対応率を提供しています。


3 LED交換工事の課題と緊急性―“あと2年” しかし7割が未対応

近藤:LED交換工事に注力する背景を教えてください。


中川:法改正で蛍光灯(水銀灯)の製造と輸出入が残り2年、2027年で完全禁止になります。それまでに全国の共用灯をLEDに替えないと、管理会社様は一気に工事の山を迎える。特にサブリース物件は管理会社が電気代を負担するためオーナー様に本事案の重要性が浸透せず、現時点で約7割が未対応です。放置すると駆け込み需要で工事費が高騰しかねません。

4 LED交換工事の提案モデル――あと700日で7割未対応を解消する“6ステップ”のソリューション

サブリース物件を中心に管理棟数の約7割=7万棟が未対応という現状を、残り約700日(2027年ピーク)でどうさばくか――。中川社長は次の6ステップで“量とスピード”を両立させる仕組みを語ってくれた。すべてオーナー・管理会社の手間ゼロ&初期投資ゼロを前提に設計されている。

表の作成(ASSET COMMUNICATIONS)

ステップ具体内容キーとなる数字・ポイント
1. 全棟リストアップ & 現場調査管理会社から物件リストを預かり、Realize+とデータ連携。エリアをブロック分け。1日数十棟ペースで既存器具等を現地調査。未対応物件 7割(約7万棟)を網羅する調査体制
2. ビフォー/アフター提案書Realize+に現状・後継機種・電気代削減量を集約し、管理会社に代わり、企画提案書を作成。提案書を出せば採用率ほぼ80%
3. 10年保証付きリース初期投資ゼロ・月額払いのリース方式も準備。3〜4年で投資回収。保証会社と提携した無償交換サービス付き。オーナーが現金払いを回避できる“楽リース”
4. 産廃処理・書類代行47都道府県で収集運搬許可を取得。書類作成から処分までワンストップ。コンプライアンス負担を丸ごと外注化
5. 専任プロジェクトチーム中川社長が本部長を務めるLED推進プロジェクトが調査→見積→施工をライン生産方式で一元管理。大量案件を“流れ作業”で処理できる施工能力
6. オーナー説明 & 循環モデル説明代行や若手担当向けRealize+Q&Aも提供。リース満了後は器具を無償譲渡し、再交換時期には再度提案。“一度提案→継続受注”の循環モデル

中川社長コメント: 「ネットショップ「Realize+」による業務フロー全体の効率化を支えとし、この6ステップで“駆け込み需要”を前に進め、63歳でグループ売上100億円を達成します。」

5 数字で見るハートリビングサポートG実績

実績
グループ売上60億円(2024年度実績)
住宅設備機器工事件数(年間)4万件(2024年通年実績)
入居前点検施工件数(月間)2万件(2025年3月度実績)

6 Realize+ネットショップ開設の狙い──“業界DX”を加速

近藤:新ブランド「リアライズプラス」とネットショップ開設の狙いは。
中川:**信頼できるネットワークを形にする“集大成”**です。商材を全てオンラインで見積依頼から報告、カルテ化まで完結できるようにしたのが大きなポイントです。管理会社様にとっては商品選定や発注業務の手間を減らし、協力会社にとっては案件情報をリアルタイムで共有できる“ハブ”のような役割を目指しています。

今回、ASSETさんと立ち上げるネットショップは、「見積依頼・発注・進行管理・履歴保存」をワンストップで完結させ、管理会社・オーナー・施工業者の三者が同じダッシュボードをリアルタイムで共有できる“業務のハブ”を目指しています。業界にはまだ「LEDはこの会社、給湯器はあの会社」と**“個別サービス”が乱立**しており、全国規模でアウトソース先を統一したい管理会社ほど受発注の煩雑さに悩んでいます。

まずは自社グループで運用し、実績を積み上げたうえで一気に全国展開を計画。ネットショップ導入により ①24時間受付で案件取りこぼしゼロ、②代理発注に伴うステータス自動通知で問い合わせ工数▲30%、③領収書・保証書の電子保存で内部DXを促進——という具体的な効益を訴求します。

近藤アセットコミュニケーションズ では、BPO とマーケティングの基盤づくりを担当し、ハートリビングサポート・グループさんの全国規模の設備調達・施工ネットワークと組み合わせることで、管理会社-BM元請け-協力会社、さらにオーナー様や入居者様も「Realize+」を通じたダッシュボードで進捗を追える“共通インフラ”を形にしていきます。将来的にはパートナー企業のサービスとも API 連携 し、業界全体が使える“オープンプラットフォーム”へ発展させたいと考えています。
中川:まさにそれが理想形です。


7 今後の展望――“63歳で100億”へ、言ったことは必ずやる

近藤:あらためてグループ全体の成長イメージを教えてください。
中川:今、グループ売上は約70億円まで来ています(既存事業60億円+新規10億円)。ここにLED事業で来期30億円を上乗せし、63歳までに売上100億円を達成する計画です。LEDは一過性ではなく、交換サイクルが回ったときの“次の30億”まで見据えています。

近藤:その成長を支えるキーワードは。
中川:まずは**「オンリーワンのリターン」を出すこと。そして「言ったことはやる」──有言実行を徹底することです。創業から24年間、年中無休のコールセンター**を守り続けてきたのもその証し。口先だけでなく、現場で結果を出し続ける会社でありたい。

近藤:組織づくりの面ではいかがでしょう。
中川:LED専任部隊をはじめ、組織を肉付けしながら全国展開させていきます。主任クラスが改善提案を出し、現場が自律的に回る仕組みを全国で横展開するイメージです。日本全国どの拠点でも同じクオリティで動けるよう、マニュアルと研修を強化します。

近藤:業界連携やネットワーク構想もお持ちとか。
中川:はい。私たちは“黒子”として管理会社を支える存在です。だからこそ、信頼できるパートナー企業とガッチリ組み、顧客の課題はすべて自社ネットワークで解決できる体制を作りたい。それが私の最後の大きな目標です。皆さまにもぜひ力を貸していただきたい――これが今の正直な気持ちです。

8 管理会社・オーナーへのメッセージ

近藤:最後に管理会社様、オーナー様へ一言お願いします。
中川:設備と工事の“困った”はぜひ私たちにお任せください。全国同一品質でスピーディーに対応し、オーナー様・管理会社様・入居者様の三方良しを実現します。LEDの駆け込み需要も一緒に乗り切りましょう。