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<独自調査>東京23区のマンション管理員条例レポート

東京23区のマンション管理員条例等の独自調査を行いました

東京23区ではマンションの建築や管理に関する条例や規制が定められており、管理員はマンションの戸数によって「定期巡回・4時間駐在・8時間常勤」等の基準が定められていますが、この基準は自治体によって違いがあります。

今回、東京23区をリサーチして分かったことは「管理員(人)の駐在が必須」の場合と「条件を満たせば機械警備等も可能(機械警備等で代替えをすることができる)」という違いがあるということでした。

例えば渋谷区は、「渋谷区ワンルームマンション等 建築物の建築に係る住環境の 整備に関する条例」で以下のように規定しています。


管理時間(廃棄物の収集日を含む)
  ・50戸未満 ・週5日以上かつ日中4時間以上、管理人の駐在
  ・50戸以上 ・週5日以上かつ日中8時間以上、管理人の駐在

対象:① 地階を除く階数が3以上又は居室を有する階数が3以上のもの

   ② 専用面積が33㎡未満の住戸(寄宿舎等の住室を含む。)の数が15戸以上のもの (「専用面積」の 

    算出は、壁芯を基準に行うものとし、ベランダ、バルコニー、パイプスペース、メーターボック

    ス等の面積は含めない。)

    ③ 専用面積33㎡未満の住戸の数が総戸数の3分の1以上のもの


渋谷区の担当者に確認したところ、管理員が駐在する代わりに「機械警備等」を行うことは一切認められていません。現在マンションの管理員は高齢化が進み、人手不足という課題を業界全体として抱えているにもかかわらず、です。

担当者は「現状と合っていないことは認識しているが、管理会社等から質問された際には、『条例の通りです』と答えています。マンション建設時に届出を出してもらい、工事完了後に担当者が現地を見に行き、適合検査を経て適合証を交付している。」と語りました。

東京23区のデータを集計してみると・・・

独自リサーチによると、渋谷区と同様管理員の設置が必須で、機械警備等で代替えを行うことが不可となっている自治体は23区内で5区あります。

住宅に占めるマンションの割合やマンションの戸数に違いがありますので、一概には比較はできませんが、表の上に行くほど「有人が必須」となるため厳しい規定であると言えます。区によって、下記の表を見ると近隣の区は内容が似ているという特徴もあるように見えます。

管理員設置必須:例外規定なし5港区、品川区、渋谷区、練馬区、大田区
管理員設置必須:例外規定なし (30戸未満は巡回等が可能等)3墨田区、江東区、台東区
管理員設置必須:例外規定あり(100戸以上は機械警備等が可能)4新宿区、中央区、北区、板橋区
管理員設置必須:例外規定あり(50戸以上は機械警備等が可能)1中野区
管理員設置必須:例外規定あり(30戸以上は機械警備等が可能)4足立区、杉並区、千代田区、文京区
管理員設置必須:例外規定あり(区長判断)1豊島区
管理員設置必須:滞在時間指定なし5世田谷区、目黒区、荒川区、葛飾区、江戸川区

*機械警備等が可能となっている場合でも、自治体によってそれぞれ条件や考え方は異なります。詳細内容は各自治体の条例等をご確認ください。
*2024年4月時点

上記の表にあるように、管理員の駐在時間の規定がない自治体もあります(世田谷区、目黒区、荒川区、葛飾区、江戸川区)。ただし、この場合においても、ゴミ出し等の必要な管理業務が行われることは必須となっています。

自治体によって条例・条例施行規則・指導要綱と異なりますが、全てに共通するのは違反した際の罰則規定がないということです。そのため、申請時は法令を遵守していたが、運用上で法令を遵守していない場合が時があってもチェックするルールや仕組みがほぼ存在していませんでした。これは驚きの事実でした。(*千代田区は運用を確認する仕組みあり)

現場の声は届いていない???

人手不足となっている管理員。コロナ禍で移動が制限された時には「管理員不在」となったマンションもありました。その後は定年の延長などに伴い人材確保に苦戦しています。特に、短時間(2時間〜4時間)の求人には人が集まりません。さらに人手不足で時給が上がる中、駐在時間が1時間増えることでマンション管理に関わる費用が増える=管理費の増加につながることになります。

人が不足しているという現状は自治体には届いているのでしょうか?自治体担当職員に聞いたところ、約9割の区の職員は「現場からそういう話は聞いていない。」と言っていました。反対に「人手不足という声は管理会社等から聞いている」と言っていたケースは1割もありませんでした。

管理員に求められる仕事の中で必須な仕事は「ゴミ捨てを伴う日常清掃」と「緊急時の対応」になりますが、「管理員が4時間 / 8時間駐在すること」は必要不可欠なのでしょうか?また、巡回型と駐在等の組み合わせ等を行うことで人材不足に対応した効率的なマンション管理の可能性は検討されてはいるのでしょううか?前回の記事で紹介した世田谷区のように、時代背景に沿った見直しが検討されることが求められていると思います。

次回は、千代田区の運用例をご紹介しながら健全なマンション管理とは?をご紹介します。

世田谷区役所-世田谷総合支所

新しくなった中野区役所

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