相続ラッシュの原因は?
人が集まる街ほど不動産の価格は上がる。
これは、不動産を仕事にしている方なら、基本中の基本ですね。
東京都が、2019年1月1日時点での人口推計を公開しており、人口予測では、東京都の人口は、今後も増え続けるとしています。東京都の人口増加は23年連続となります。
また、地域別人口増減数を見ると、都心部の増加が著しいこともわかります。
最近の働き世代が、会社に通勤することをかなり重視して住まい選びを考えていることが窺えます。理由は明らかで、現代の働き世代において、夫婦共働きの割合が増えたからです。
家に対して、「暮らす」という環境を重視するより「働く」、つまり通勤のための交通利便性を重視する考え方に変化していったのです。
「働き方改革」が叫ばれる昨今、昔のように、夫が家族サービスもできず、がむしゃらに働く、といったケースはめっきり聞かなくなり、休日にはちゃんと休めるように政府も誘導しています。
それでできた時間的余裕を使いどこかへ遊びに行くにも、都心からなら便利。東京は交通網が発達しているので、車も無理には必要ない。そうなれば、都心居住を選ばない理由はありません。
しかし、東京都の人口は概ね2025年頃がピークで、その後は減少し始めると言われています。
都区部に限っても2030年頃から人口は減少すると言われています。つまり、エリアにもよりますが、これまで人を集めるのが当たり前だった東京の「集客力」もおよそ10年後に限界を迎える、というのが一般的な認識です。
その原因の一つが住民の高齢化です。
となると、都区部において大量の相続が発生することが容易に予測できます。相続人の側はどうなっているのかと言えば、多くはすでに家を所有している世代に差し掛かっています。中には親の家を引き継いで住む人もいるでしょうが、賃貸や売却に出す人もかなり多いはずです。
東京ですら人を集めるのが難しくなるこれから先に、賃貸や売却される不動産の数が増えればその価格がどうなるかは言うまでもないでしょう。
もちろん住宅の価格は人口の増減だけで決まるものではありませんが、これからの日本においては若者人口が減り、高齢者の単身世帯が引き続き増加します。ただ高齢者の世帯はすでに住宅を所有しているケースがほとんどで、新たに住宅を買ったり借りたりする層ではありません。そういった意味で、若者人口が減少してしまえば、やはり住宅に対する実需が減らざるを得ないのです。
さらに言えば、これから先、都内の不動産は「借手市場」「買手市場」へと転換していきます。賃貸でも購入でも、都内の不動産はエリアによっては選び放題になります。
一筋縄ではいかない不動産。不動産に携わる者は、こういった動向を様々な角度から常に考える必要が多いにあるのです。