アリババがごみ分別アプリを
世界のAmazon、中国のアリババ
国内でネットショップといえば、Amazon、楽天市場、Yahooショッピングという3社のイメージが強いですね。グローバルでみると完全にAmazonの一人勝ちと日本では思われがちですが、中国のアリババが年々影響力を増しています。実はAmazonの時価総額は2019年10月末で約90兆円。アリババは約46兆円とECプラットフォーマとしては世界2強となっています。ちなみに楽天は約1兆円です。
アメリカではネット通販で約5割のシェアを持つAmazonが、中国では0.6%に止まっていることをご存知でしょうか。中国の宅配便の8割がネット通販商品を占め、中国EC取引の8割がアリババのサイトによるというデータもあります。
日本では消費者としてアリババのECサイトを使う機会は多くないかもしれませんが、「名前を聞いたことがある」という方は多いでしょう。
そのアリババが、ごみ分別アプリを開発
中国の鳥鎮で世界インターネット会議(2019年10月20-22日)に弊社開発関係者が参加した際、驚いたことにアリババ展示ブースでごみ分別AIとアプリのデモがありました。アプリはゴミの写真を撮れば分別方法が表示されるというもので、現在1000種類のゴミを自動認識する、というものです。
アリババはモノを大量に流通させ、利便性と引き換えに大量の梱包材を発生させている ECプラットフォーマとしての 社会的責任 の一端をこのようなアプリ開発で解決策提示するという取り組みを行っているわけです。日本企業にはない大きな循環経済の視点を持っていることを 強く感じました。
それ以外にもリサイクルゴミを自動計量して一定のお金(ポイント)を還元し、それでゴミ袋を購入できたりする機械(写真参照。ゴミ袋販売機も併設)も展示されていました。こちらは鳥鎮の地元企業のようです。ちなみに顔認識でゴミの投入口が解錠されるようになっています。
アリババが先手を打ってごみ分別アプリを開発しているということは、 Amazonや楽天など他のECプラットフォーマも社会的責任としてのごみ排出のコントロールが問われてくる状況になるでしょう。
上海の「ゴミ分別」に対する罰則に関しては以前の記事でもご紹介しましたが、違反すると200元、日本円で約3500円くらいの罰金となるそうです。
日本は「排出」→「排出管理」→「収集・運搬(自治体)」が細切れで広域プラットフォーマが存在しません。そのため、ごみ問題解決において中国から一歩、いえ、二歩くらい遅れる懸念が強い現状です。建物管理の現場視点から微力ながら課題解決に役立ちたいとは考えていますが・・。